イエロージャンキー
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「っ!」


彼のその言葉に息を呑んだ。

どうして、どうして、覚えてるの。
だって、もうあたしは―…。



「みかこ?」




後ろから囁くように呼ばれた、あたしの名前。
心臓が、一際大きく跳ねた。


「や…ぁっ!」


あたしは体を捩り、思い切り彼の体を押しはがす。
いきなりのことで反応できなかったのか、彼の体はあっさり吹っ飛んだ。


「みか」


「呼ばないで!」


両耳を手で塞ぐ。
口をついて出たのは、悲鳴に似た言葉。



「っ、修ちゃんなんか大っ嫌い!」



それだけ叫ぶように言って、あたしは生徒会室を出た。







「は、はっ」


喉が詰まって呼吸ができない。
肺が潰れそう。


「―ぅ…。」


不意に出た涙を、どうすることもできなくて。





どうしてあたしの名前を呼ぶの。
今まで呼ばなかったくせに。
どうしてあたしに近づくの。
離れていったのは君からなのに。


もう、わかんないよ。


顔を手で覆って泣くことしかできなかった。



<続>

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