オレンジの片想い

そういえば蒼真は、授業中によく寝る人だ。



「いつも寝てるよね」って言ったら、「限界まで頑張ってるけど、いつの間にか意識ない」とかなんとか言っていた。


たぶん今もその状況。


起きたらきっと、"あれ、寝てた?"って言うだろうな。寝起きは目の充血した、だるそうな彼のその姿が目に浮かんだ。




漸く笑いが収まってきた。じっと見るのはなんだか自分が変態みたいだから、横目で蒼真を観察する。

蒼真は無意識なんだろう、自分の寝やすいベストポジションを探って、自らの腕に頭を載せた。


それが丁度右腕で、顔がこちらに向いている。




.....ああ。どうして寝顔って、こんなにもかわいいのだろうか。




いちばん無防備なその状態は、さっきまでの彼の力の強さが嘘みたいで。例えるなら、猛獣が大人しくなったような、そんな感じ。



眺めているだけで、心臓がぎゅーって締め付けられてる感覚。


それがどうしようもなくって、手に持っていたシャープペンを握り締め、口も硬く結んだ。



どうしたら治まるんだろう。

どうしたら、止められるんだろう。



今にも走り出しそうな、この想いを。
< 124 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop