オレンジの片想い

夕立


写真部の部室の戸をひとり、そっと開けてみると、女の先輩2、3年生合わせて5人、男の先輩は3人いた。

かなり少ないな、と思えば先輩たちもそれに危機感を覚えていたらしく、わたしが来たことがとても嬉しかったそうな。良い人ばかりで、もう写真部に入るのは決定かもしれない。



下校時間になって家に帰り、真っ先にスマホを取り出しひなせちゃんに報告。


ひなせちゃんは何部希望なのかと今日の昼休みに訊けば、書道部に行くと言っていた。わたしと同じように、中学の時もその部活に入っていたらしい。



メッセージを送るとすぐに返信がきて、どうやら書道部の方もいい感じだったそう。



ベッドに寝転んで、目を閉じた。

照明が点いているから、瞼の上からもチカチカと白く映っていた。



そういや月菜と何部に入るとか、そんな話してないなあ。明日訊きに行こうかな。中学のときは何も入ってなかったけど、どうなんだろ。

陽翔はたしか、中学の時...あれ。何部だっけ。


入ってなかった、気がする。



うん。陽翔にも訊こう。


ゆっくりと目を開け、入ってくる光が眩しくて、くるりと裏返ってうつ伏せになった。




スマホの画面には"瀬川蒼真"の文字。



「......」



暫く見つめて、ボスっとスマホをベッドの上に放り投げた。




画面は、暗くなっていた。
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