オレンジの片想い

たからもの


それから数日経って、咲歩と月菜と集まった。



わたしに起こった出来事をグループラインで話したら、急遽ふたりはわたしのために、わざわざ時間を空けてくれたのだ。最近、人の優しさを今まで以上に感じるようになったなあ。



とはいえ咲歩は部活で休みがないから、3人でご飯を食べに行こう、ということだった。


忙しいのに時間つくってくれて、ほんと感謝しなきゃな。



わたしたち行きつけのレストランで待ち合わせ。

この3人で集まれるってなれば、大抵はこのレストランに待ち合わせる。みんなの家から等距離にあって、しかもおいしいという、わたしたちにとってすごく助かる店なのだ。




店内に入ると、ふたりは既に席に座っていた。


わたしに気が付いた咲歩が、こちらに向かって小さく手を振った。それを見て月菜がわたしに気づいたようで、咲歩とは対称的に大きく手を振って見せた。




「ごめん、遅くなって」


「いいよいいよ。てかまだ待ち合わせ時間なってないし。まだ5分前だよ」


「あれ、じゃあふたりとも早かったんだ」


「うん。遅れないようにしよーってね、ふたりで。10分前には着いてた」



わたしのために?



「....ありがとう」


「うん、まあ座りなよ」



そう促されて、わたしは咲歩の隣に座った。
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