神様のおもちゃ箱

結局ベッドを占領された俺は、部屋の隅で鞄を枕にし、タオルケットにくるまって寝るはめになってしまった。


「へっくしゅん」


思ったよりも床は硬い、痛い、冷たい……。

何で俺がこんなに肩身の狭い思いをしなきゃならないんだよ。


ちらっとベッドへ目をやると、豪快にさらされている白い足が見えて、俺は慌てて目を背けた。

俺は現実から目を背けるように、思いっきりベッドに背を向けて、
ぎゅっと目を閉じた。



明日、目を覚ましたら、全部夢であってほしい。

そんなわけはないけど、それでもそう願わずに居られない。


目を閉じたら、瞼の裏にコバルトブルーが広がった。


時々、

すすり泣く声が聞こえた気がしたけど、敢えて俺は聞こえないフリを決め込んだ。



“目の下にほくろのある女だ”



井伏はどこへ旅に出たんだろう。

二人はどんな関係だったのだろう。


そんな事をぼんやり思いながら、すぐに夢の中へと落ちた。


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