同居人は女社長
エリンがシャワーを浴びていると、レッドも入ってきた。

「どうして、待っていてくれないの?」


「ごめん、待てなくて。」


「ここでなんてはずかしいわ。
だって、はじめてだし。」


「悪い、わかってるけど、離れたらまた誰かにさらわれてしまいそうな気がしたから。
俺が目を離したら、どこかに君を連れて行かれるんじゃないかと思って。」


「もう私出るから、私が待ってるわね。」

そういってエリンがバスルームから出ようとしたとき、後ろからレッドがエリンの腕を掴んで振り向かせると夢中で唇にキスしていた。


「ん~~うう~~~!!」


エリンが声をあげようとしたとき、レッドはエリンを抱えて、そそくさといちばん近いベッドルームへと飛び込んだ。


「ちょ、ちょっとぉ・・・」


「いいから黙れ!こっちはずっとおあずけくらってんだ。
どんなにショックでも声たてんなっ!」


「は・・・はい。」


なぜ、ここでレッドに叱られているんだろう・・・と思いながらも熱い吐息を漏らしながら首筋から胸へとキスしていくレッドの表情を見ていると、エリンは抵抗しようという気持ちにならなかった。


(こんなにレッドは私のこと・・・愛してくれてたんだ・・・。
敵のボディガードや犬もいたはずなのに、私を助けだしてくれたんだ。)


「あっ・・・ああ・・あんっ!」


「こんなかわいい声も出ちゃうんだ。」


「だ・・って・・・感じるとこ、食べたり、さわったりする・・・」


「そう?感じてくれてるんだ。」


「い、いやぁ・・・だ、だめ、そんなさわっちゃ・・・」


「かわいいなぁ。」



2人がベッドを離れたのはお昼をとっくにまわった時間だった。

エリンが庭のベンチに腰かけていると、レッドが寄ってきた。


「シーツは全部干しておいたぜ。
それと、クリーブが使用人を手配してくれたらしい。
ほんとに気がきいてる。」


「で、ハルビィはどうなったの?」


「鋭いな。捕まったよ、誘拐、監禁・・・いろいろとね。
でもクリーブとハンクのおかげで普通の生活はできるようになるみたいだけどね。」


「私はまだわからないわ。リエッタやハルビィがどうして私にひどいことしたのか・・・。」


「そうだなぁ。俺が予想するに、彼女たちは自分自身にいっぱい愛情がほしかったんだと思うよ。
クリーブが言ってたんだけどな。

メイドの母親は結局お金持ちの夫人にはなれなかったけれど、主人の愛情はもらえたらしい。
そして、クリーブも貧しくていつかは金持ちになるってがんばったのは、親の愛情があったからだとわかってるから。

けど、お嬢さんたちは財産こそ余裕で手に入れたけど、親の愛情とは程遠い生活だったそうだ。
政略結婚からメイドに気持ちをひっぱられた夫に嘆いてばかりの母親で、しまいには夫のいない時間に知らない男が邸にやってくるようになったらしい。

ハルビィも若くして結婚したが、相手が望んでいたのはマグナリークの財産であって、彼女自身じゃなかった。
化粧品会社で得た収入をもらいうけるときだけの夫だったらしい。
そして、薬にも手を出し始めて・・・離婚が成立したら仲がよかった従姉は財産を減らして生活するのがやっとの状態になっていたらしい。」
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