苺なふたり
高校を卒業しても、私達4人は付き合いを続け、今でも飲みに出かけたり旅行に行くこともある。
これまでの楽しい日々の幾つかを思い返しながら、手元に残っていたショートケーキを食べる。
既に苺を食べ終えて見た目は生クリームに覆われた真っ白な物体だけど、その中にはスライスされた苺がたっぷり隠れていた。
その事に気づいて、自然と口角も上がり急いで食べる。
目の前にいる功司私のそんな様子に苦笑しているのはわかっているけれど、大好きなんだから仕方がない。
一番大きな苺はとっくに食べたから、とられる心配もなく安心だし、あとは残りのケーキ本体を味わうのみ。
ケーキをあっという間にたいらげて、「おいしかったー」と呟き椅子の背に体を預けていると、意味ありげな声で功司が呟いた。
「もう、人に取られたくないもんな。……イ・チ・ゴ」
テーブルに頬杖をついたまま見上げる視線はあまりにも色気がありすぎて、絶対に自分の魅力を自覚しているとわかる角度で私を射る。
「うわっ。お金取れそう」
その瞳の揺らめきに、何人の女の子がきゅん痛みを覚えて胸をおさえただろう。
功司の見た目の麗しさに心酔している女の子は私の周りに何人もいるし、きっと写真に撮っておけばかなり稼げる。
きっと、一杯1000円以上もするコーヒーを余裕で何杯も飲めるほどには私の財布にも厚みが生まれるはずだ。
それに、たとえお金を払って手に入れたとしても、功司の写真なら買った女の子も幸せになるだろうし。
うん、かなりいい考えだな。