恋じゃなくてもイイですか?


むしろ、自分の名前は「ミーちゃん」だったのかと思う位・・・いや、それはないけれど。


「眠そうだね?また夜通し仕事してたの?」


トーストの上に目玉焼きを乗せて、頬張りながら、目の前のハルニレに訊ねる。


相変わらず、ピンと天井に向かって伸びた妖怪アンテナは何かを受信したままだ。


ハルニレはフレームの大きい黒縁メガネをしていて(普段はコンタクト)、その奥の瞳はシパシパとしていて、このまま黙り込んでいたら、トーストを齧ったまま眠り込んでしまいそうだった。


「僕には夜間の作業の方が向いているみたいですね。どうも、いいアイディアが浮かぶと時間を忘れてしまいます。ミーちゃんが食事係を引き受けてくれなかったら、きっと堕落した人になっていたでしょうね」


ありがとうございますとハルニレは両手を合わせて礼をする。


何か参拝されているみたいな気分になって恥ずかしい。


「そんな改まって・・・いいの、1人分作るよりは作り甲斐もあるし、好きでやってるんだから」


「そうでしたね」


ハルニレは眠そうな顔をしたまま、フフッと笑った。




ハルニレは不思議な男だった。


歳は私と同じ23歳。誕生日を迎えれば、24歳の歳男だ。


中性的な顔立ちで、線が細く、身長もそんなにない(たぶん165cm前後?)。


伸ばしっぱなしにした癖のある黒髪を後ろで軽く結わいでいるから、後ろ姿は女の人にも見えなくない。



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