恋じゃなくてもイイですか?


遠ざかっていく「やにれ荘」と、近づいてくる目下に広がる住宅街。


この風景を眺めるのが、いつの間にか好きになっていた。


綿菓子のような雲が浮かぶ、青い空を眺めた。


ペダルを漕ぐ足は軽い。


今日も1日頑張ろう。




「やにれ荘」に住み始めてから約1カ月。


いつの間にか、私=料理を作る係、ハルニレ=掃除・備品管理係みたいな役割り分担が決まっていた。


「やにれ荘」の管理人だけあって、ハルニレは細かい所にも気が利くし、綺麗好きで、古い物件ではあるが、居心地がいい。


居心地がいい・・・男の子との同居生活で、そう思えるなんて、きっとあの時の私には考えられなかっただろう。


ハルニレとの再会。


私がこの「やにれ荘」に住むことになったきっかけ。


話は1カ月前に遡る______





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