死の神と一輪の花

第3話『変化』



 俺はこの世界が嫌いだ毎日同じ「いつも」が繰り返されるだけ。
 別に変わりを求める訳じゃないが..
 自分が誰なのかなんてもうどうでもよくなっていた。
 でも最近は何かが違う 俺の知ってる「いつも」じゃなくなってきていた。

 朝起きトイレに行き顔を洗い歯を磨き着替えをして学校へ行く。朝ご飯はいつも食べない。あまり食べたく無いのだ。お腹が空かない、なぜだろう昼も夜も食べない事も有る。俺はこれといってお腹が空いた事がない。
 ここまではいつもと同じ、でも今日もまた少し「いつも」と違っていた。
 またあの道端の花の前にあの女の子..花がしゃがんでいた。

花乃: おはよう隼人君
隼人: おはよう 今日は朝から来てたんだな そんなにこの花好きか?
花乃: うん好きだよ
隼人: 何がいいんだこの花の
花乃: 分からない でも..このお花が私を変えてくれる..そんな気がするんだ
隼人: じゃあこの花持って帰ればいいじゃないか?こんな遠い所まで来て大変だろ?

 俺がそう言うと花はいつものかすれかかった小さな声ではなく大きな声で言った。

花乃: ここじゃなきゃ意味がないの!!

 俺は花のその大きな声に驚きながらも少しうれしかった。もしもここで花が俺の提案を受け入れてしまったらもう花には会えない..そんな気がしていた。

隼人: よかった..  遅刻するぞ!早くいこう!
花乃: よかった?
隼人: 何でもない!! ほら行くぞ!
花乃: うん!!

 俺はその時の花の笑顔が忘れられない。
 学校に着くなり「じゃっ!!」と言って花は走って行ってしまった。そういえばどこのクラスなんだろう。そもそも学年すら分からない。
 俺は帰りにあの花の前にあの子が居る事を願っていた。

 クラスに着き自分の席に座りぼんやりと空を眺めている。
 クラスの男子がオカルト的な話をしているのが聞こえてきた。
 俺はそいつらの名前も知らない。


男子1: なあ人間はなんで死ぬと思う?
男子2: 病気とか事故だろ。
男子1: そう表向きはな!

 こいつは何を言ってるんだ?人の死に表も裏も有る訳ないだろ!!殺人とかなら別だろうが。

男子2: 表向きって じゃあ裏は殺人か?
男子1: そう!!でも裏の死は全部が人間が殺している訳じゃない
男子2: はあ?じゃあ何だって言うんだ?神が殺したとでも言うのか?
男子1: そう神!!でも神は神でも死神だ!
男子1: 死神は人の命を奪って生きているらしいぞ
男子2: そのくらいは知ってるけど死神なんかいる訳ないだろ
男子1: まあ信じられないと思う!俺も始めは信じ無かった
男子2: じゃあ何で?

 おもむろに男子はバックから一冊の本を出した。その男子生徒は俺の事を一瞬見た気がしたが俺には関係無い俺はそういう現実離れした話は信じない。
 それよりあの子は今日もあの花の前に来るだろうか?
 今日は何か変だ朝からあの子に会ったりいつもなら耳にすら留まらないクラスメイトの会話が聞こえたり。まあどうでもいいや。
 そんな事を考えながらいつもの様に授業が始まった。
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