擬態化同盟 ~教師と生徒の秘密事~


暑い・・・?まぁ、暑いには暑いけど。

「そうですね」なんて頷きかけて、その言葉を飲み込んだ。

違う。伊丹先生が煩わしそうにしているのは暑さでは無く、私だ。

察しがつくと、着任してすぐに美原先生に受けた忠告を思い出す。


『伊丹先生には気を付けてね?新人いびりが趣味だから』


これが新人いびりというやつだろうか?

そうだとしても、今回は遠ざけるわけにはいかなかった。

「やる気があればなんだって上手くいくとでも思っているのかしらね」

独り言のように伊丹先生はぼそぼそと呟きながら、自分の席に座ってしまった。

頭にはきたけど、ぐっと堪えた。

衣装が間に合うか、という問題よりも伊丹先生とこれから関わっていかなければならないことの方が重荷かもしれない。


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