四角いジャングル
タッグ王座決定戦
セルリアンブルーのリング中央に立つリングアナにスポットライトが浴びせられ、歓声が上がる。

「それでは青コーナーより、ミスター・ロック、ダン・フライ組の入場です!」

入場テーマ『Electrifying』と共に、どんな人種にも見える独特の肌の色を持つロックと、典型的アメリカ白人のフライが花道を歩いてくる。

ロックは母方の祖父がハワイマットの重鎮で伝説のサモア人レスラー、父も絶大な人気を誇った黒人レスラーというレスラーの家庭に生まれ育つ。

彼の肌は、このサモア系と黒人のハーフという珍しい血統による。

褐色の、精悍さを際立たせる肌の色。

それがロックの肉体美をより一層引き立てていた。

…ロック・フライ組がリングインすると。

「赤コーナーより、猪瀬 寛至・大谷 晋二組の入場ですっっ!」

入場曲『炎のファイター 〜INOSE BOM-BA-YE〜』が会場に流れ始める。

同時に観客達が手拍子と共に『イノセボンバイエ』を連呼。

どんなにニュージャパンのマットにアメリカンプロレスのスーパースターが上がろうとも、この男には敵わない。

炎の闘魂・猪瀬 寛至が、背中に『闘魂』の文字を染め上げたガウンを纏って入場してくる。

その後ろには、『Believe S-Road』とプリントされた真っ赤なTシャツを着用した大谷。

二人はセカンドロープを潜ってリングイン。

これで役者は揃った。

IWCタッグトーナメント決勝戦の開始だ。

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