四角いジャングル
その猪瀬によって、面接は行われる。

あのカリスマ直々の面接だ。

テスト生の大半は、ガチガチに緊張して上手く受け答えできない。

そんな中。

「それじゃあ君」

大谷の順番が来た。

「何故プロレスをやろうと思った?」

「それはっ、あのっ…」

ドモりつつも、大谷は答える。

「猪瀬さんっ…猪瀬さんが、俺の憧れだからですっ、子供の頃から、猪瀬さんの試合を見て、ずっと猪瀬さんみたいなレスラーになりたいと思ってましたっ」

「ふむ」

自分の名前が出たにもかかわらず、猪瀬は別段嬉しそうな顔はしない。

大抵のテスト生が、この質問に対しては『猪瀬に憧れていた』と答える。

大して珍しくもない回答だった。

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