近くにいた王子


服を受け取りながらもアユに視線を向けると

完璧ほころんだ顔。


そんなに好きなのかよ、そいつのこと。


まだノロケ話をするアユを遮るように、俺は口を開いた。


「で? その啓太くんとはどこで出会ったわけ?」


啓太とかいうやつが、俺のまわりにいないのは分かっていた。

けどアユは合コンとか行くタイプじゃねーし、

気になったからって、声をかけるような積極的なやつでもない。

啓太との出会いが気になって仕方がなかった。




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