涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜




怜の目の前で、涙を見せるわけにはいかない。

理由を問われたって、答えられないんだから。

惑わすだけ惑わして、離れて行ってしまうのだから、きっと。


「怜。ね?お願いだから。」


離れて、と何度目かのその言葉を怜に言うと


「夏希は俺のこと、きらい?」


怜は不安そうにあたしにそう聞いた。


「そうじゃないよ。」

「じゃあ、好き?」


どうして、この子は、あたしに答えにくい、答えずらい質問をするのだろうか。



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