手拭い村の奇祭
第二章
「あああ、変な夢見たぁ」

「夢?」

「鬼がさぁ、女の子の頭を、がぶーって」

「夢ではない。さっき見たろう」

 表情も変えずに言う佐馬ノ介に、僕は半笑いの口を引き締めた。

「何なんだよ! あれは! あれのどこが、祭りなんだ! 何なんだぁ、ここは!!」

 ロケか?
 ロケなんだろ?
 時代劇の、鬼退治的な。
 どっかに桃太郎がいるはずだ!

 パニクる頭で必死に考える。
 が、佐馬ノ介は淡々と僕に言った。

「初めも言った。ここは手拭い村。確かに、祭りというには惨いがな。鬼にとっては祭りなわけだ。手拭いを背後に落とされた者は、鬼の餌になる。逃れるためには、一刻(いっとき:二時間)の間に、他の者の背後に手拭いを置かねばならん。背後に置くのを気付かれずにな」

「……」

「置くときに相手に気付かれたり、先の娘のように、一刻以内に手拭いを回せなかった者は、鬼に喰われる。そして鬼が、手拭いをまた誰かの背後に置くわけだ」
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