桜の約束
桜は照れている様で、そう言いながら顔を隠していた。
「…うん、守って呼んで」
懐かしい声が
言葉が
懐かしい呼び方が
懐かしい話し方が
あぁ、また桜の近くに戻ってこれたんだと思える。
「桜…さくら…さくら…」
また、呼んでもいいのだ。
全部、消えたと思ったあの日。
誰、と不思議そうに問われるのは怖かった。
俺の存在そのものが否定されていく様で不安だった。
でも、まだ。
俺はここにいて、桜もここにいる。
あの日までの桜はいないけど、桜と言う人はここにいる。
それが、幸せだ。