桜の約束

初めまして





桜の木までは、すぐについた。



薄桃色の花びらがヒラヒラと舞っている。



私の名前。

‘‘桜”



ゆっくり近づいて、太い木に手をついた。



私が生まれるよりも前からここに咲き続ける桜。



毎年満開に咲き、やがて花を散らして来年に備える。



花びらを、落ちる前に取りたくて両手を開いてみたけどなにもつかめなかった。



開いた手のひらの指の間から、ふわふわヒラヒラとすり抜けて行く。



まるでそれは掴めない私の記憶のようで、泣きそうになった。




~♪~♪




ポケットに入れた携帯が、賑やかな音楽を奏でながら震えた。



「え?」



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