今さら恋なんて…



「今、俺のことオジサンだって言っただろ?」


「言ってないし…」

あたしは眉根を寄せながら、お皿に盛られたチーズを摘んだ。


「旨そう。俺にもくれ」


「…食べれば?」

あたしはチーズを摘んだ指でお皿を指さしながらそう言う。


すると、

「いただきー」

なんて、シゲハルは呟いて、あたしの手を掴む。


「……何してんだよ、ジジィが」

何をされるかいち早く察したあたしは、掴まれたのと反対の手でシゲハルの頬を躊躇なく殴った。


「痛っ」


「触るな、変態」


「つー、マジで冷たい…」


…なんて会話を何年もしてきたあたし達。


あたしは毎度毎度交際を拒否し続け…シゲハルは毎度毎度、懲りずにあたしを口説き続けた。




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