クールな彼と放課後の恋
「じゃあ藤川さんと笹山さんは、朝の10時~12時までの調理を頼んでもいいかな?」

「あ、はい!」

「大丈夫です!」


調理係のリーダーに言われ、慌てて返事をする私と香穂。


ぼーっとしてて、半分聞いてなかったよ…

でもまあ、とりあえず10時~焼きそば作ればいいんだよね☆




「当日は、各自エプロンを持ってきてね。髪長い人は必ず縛ってください」

「「はーい」」


エプロンかぁ…家になんかいいのあったかな?

学校に持ってくなら、かわいいのがいいな。





「ねえ、今日の放課後エプロン買いに行かない?私かわいいエプロン持ってないんだ」


香穂がコソッと言った。



「そうだね!行こう♪私もかわいいの持ってないや(笑)」

「ふふ、決まりね☆」


稲瀬と係は別れちゃったけど、文化祭はそれなりに楽しいものになりそう…♪











そして文化祭当日。



トントントン…



調理室では、他のクラスがラーメンやクレープとかを作っている中…

私のクラスは、地味に野菜や肉を隅っこで切っていた。




「どんどん切ってね!売り切れにならないように、たくさん買い出ししたみたい。半分先生のゴチだったんだって!」

「へ、へえ」


リーダーの女子生徒が、そう言って横のパイプ椅子に座って笑った。

私と香穂は包丁で野菜を切りながら、愛想笑いをした。


時間通りに調理室に行ってみると、大量の野菜を目の前に出され…

リーダーに「じゃー切って♥」なんて言われたけど、内心焦っていた。


こんな量の野菜、八百屋か飲食店にでも働いてない限り見ることないでしょ?




「おつかれ~キャベツは持っていって大丈夫かな?」


すると、うちのクラスの売り子係の女子が、私たちに駆け寄った。




「うん、お願い」

「はーい」


女子は業務用のボールに入ったキャベツをもって、調理室を出ていく。

焼きそばを焼くのは売り子係で、私たち調理係はあくまでも野菜を切ったり段取りするだけだ。


校門を入ってすぐの場所に屋台を構え、そこに鉄板を置いて焼きそばを焼くスタイル。

屋台ということで、クラスのみんなでおそろいのハッピを着ている。
< 195 / 246 >

この作品をシェア

pagetop