ゆとり社長を教育せよ。


「……美也ちゃん、この後って、暇かな?」


――ほら、言ってるそばからお誘いが!

今、千影さんにんにく付きの牛肉のタタキ口に入れたし、もしかして肉食獣になる気だったりして……!


「はい、何もありませんよ?」


ガッツポーズを決めるのは心の中だけに留めておいて、私は期待半分、恥じらい半分の上目遣いで彼を見つめる。



「ダーツ、やりに行かない?」

「ダーツ……ですか?」



なーんだ。千影さん、まだ紳士の仮面剥がさないのかぁ。

少々がっかりしつつも、千影さんから食事以外のデートに誘われるのは初めてのことだから、それはそれで嬉しい。

千影さんにダーツって、よく考えたらすごく画になりそうだし、彼のこともっと好きになれるかも。



「近くに一人でよく行くお店があるんだ。そこはバーも兼ねてるし、美也ちゃんさえよければ移動して飲み直さない?」

「はい、是非!」



一人でよく行くお店に連れていってもらえるって……これはかなりの進展?

うん、そう思うことにしよう。

私は、千影さんのテリトリーに踏み込んでもいい女……ってことだものね。


< 6 / 165 >

この作品をシェア

pagetop