私んちの婚約者
「きゃあああ、可愛さ爆発!!!」

教会に戻って、意味不明なぶっ飛び発言と共に、私に抱きついてきたのは。
なんだか格好良い超美人。
スラリと背が高くて、スタイル抜群で、綺麗なのに可愛い、良い意味で年齢不詳。

だ、誰?

「あなた愁也を殴り飛ばしたんですって?……理想の嫁!!」

「母さん、梓が固まってる」

愁也が呆れたように私を女性から引き離した。
しゅ、愁也のおかーさん!?


「そうだよ、由里子。あなたはもちょっと落ち着こうね」

一緒にいた男性が優しく笑った。こちらも穏やかそうな優しそうなーー格好良いひとだ。

「あらごめんなさいね」

「そこが可愛いんだけどね」

あの、すみません、置いてけぼりでノロケられてます?
愁也母の隣で笑うのは、愁也の義理のお父さん?

蓮也や透也に会ったから神前会長似かと思ってたけど、こうしてみれば、愁也は確かにお母さんに似てる。
そして話し方は、天野の父によく似てる。

「初めまして!高宮梓ですッ!!」

慌てて挨拶すれば。

「愁也の母の由里子で~す。よろしくね」

「愁也の父の孝弘です。よろしくね」

ニコニコ笑顔が降ってきた。
お、おかーさん、神前会長と色々あったように見えないなあ……。
いや、この天真爛漫さに、あの会長がメロメロになったんだろうか。


「愁也ってば顔は良いけど性格に難があるじゃない?我が子ながら心配だったけど、梓ちゃんみたいに思い切りがいい子なら安心ね」

愁也のお母さんはそう言って綺麗に笑う。

思い切りっつうか、ただ短気で乱暴なだけですが!!
ああ、自分の性格に自分で突っ込む日が来るとは……!

「あとは梓ちゃんにお任せするわね。……ちょっと難のある息子だけど、もう返品不可だからね?」

難アリを二回、二回言いましたよ!?

「失礼だな、母さん」

愁也の動じなさにもビックリだ!

驚きに皆を見回すのが精一杯だった私に向けられるのは、ただただ優しい微笑みと、親しみに溢れた言葉で。


「幸せになりなさい、愁也」


孝弘パパがそう笑って。
愁也も笑顔で頷いた。
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