私んちの婚約者
「じゃあ、僕にもチャンスがありますよね。失恋した者同士、今夜の夕食、ご一緒して頂けますか?」

おや、そこに繋げたかー無神経男、神谷。
ノーなんて最初から選択肢に含まれてません、て笑顔で、神谷氏、攻撃に入りました。
さすが伊達に年を重ねていませんね。

「……失恋て、神谷さん、ワザと天野チーフを煽って梓さんとくっつけたくせに」

おっ、三崎さんの反撃です。
これはエレベーター事件の件ですね~あれは結構社内の噂になりました。

「おや、バレてましたか」

本人、悪びれずに肯定。
やっぱりこの人、性格悪いようです。

「なぜそんなことを?」

三崎さんの問いに、彼はイタズラめいた笑みを返しました。

「あなたを手に入れたくて……と言ったら信じます?」

「信じません」

「……でしょうね」

一刀両断のマドンナに、神谷氏、苦笑しております。
どこまでも言葉遊びが好きなようです。

「わからない人」

三崎さんの感想はごもっともですね~


「天野チーフにはもう少し、一歩はじけて頂きたかったんですよ。本人は執着心が無いつもりのようですが、あれでなかなか一線越えると、とんでもない野心家に化けるものです」

「つまり、会社のため?」

笑顔は肯定。
う~ん、神谷氏は実は怖い人なのでは。


「……でもまあ、そうやって正直に話して下さるとこは、割と好きですよ」

おや!三崎さん、笑顔付きでコンボ技を繰り出しております。
神谷氏、意外にも驚いたようです。目がまん丸になっておりますが、大丈夫でしょうか。


「あなたが欲しいのも嘘ではありませんけど。……たった今から」


きました――!
ついに神谷氏、最終奥義を披露です!!

なんとなくですが
→↑○△×→□とか
押してる気分です!


この妙な沈黙はなんでしょう。
二人とも照れてるのでしょうか。
いい大人で、隙のないこの人達が。
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