私んちの婚約者
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「まったく、世話の焼ける愚兄ね。良い歳こいて恋愛音痴の魔王か」

梓さんが呆れたように言う。

「それに本気でイイ歳なんだから、再婚約よりもう結婚でしょーが」

あいついくつだ?と指折り数え始める梓さんに、愁也さんが梓音ちゃんをあやしながら苦笑した。

「まあアイツも色々あるってことでしょ。だけど一度ストッパーが外れると抑え効かないタイプだから、葵さん、気をつけて」

艶めいた微笑みに、思わず赤面してしまう。
梓さんが愁也さんを睨んだ。

「愁也みたいに?……このエロイケメンめ」

「そんなに褒められたら、ぜひ今夜にも期待に応えなくちゃな」

「ぎゃああ!シィ、ママを助けて!!」

梓さん達の微笑ましいやりとりを眺めていた私の肩を、抱き寄せた手。

「蓮也さん」

「今日の便でイタリアに戻るんだろう。東堂に車を回させたから、早く行け」

シッシッと手を振って、愁也さんと梓さんを送り出す。


「じゃあまたね、葵ちゃん!ついでに蓮也!」

「はい、お元気で、梓さん、愁也さん!梓音ちゃんも!」


二人をお見送りして。
私は隣に立つ蓮也さんを見上げる。

「寂しいですか?」

「やっと静かになった」

ふふ、ひねくれ者。
優しい唇が私に触れる直前、私は彼に囁いた。


「すぐに寂しくなくなりますよ。子供、私が産んであげますから」



私たちが結婚して、赤ちゃんが生まれるのはそれからすぐのこと。

同じ年に梓さん達の第二子が生まれるのも、
今はまだちょっとだけ先の話。





~fin~
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