私んちの婚約者
あの女性社員達の良い分も分かる。
お似合いだ。どっからどうみても、大人素敵カップルだ。

私が全くの他人だったら、キャーとかって騒いで写メの一枚でも取らせて下さいと頼み込んで、携帯の待ち受けにしたあげく恋愛成就のお守りとして子々孫々まで拝み倒すだろう。いや言い過ぎか。でもやる。多分。
混乱した頭は、とりとめも無くぐるぐるとまわり、床どころか今は目の前まで真っ黒に染まっていく。


私の様子に気付いた愁也は、三崎さんに渡そうとしていた書類の手を止めて、私を覗き込んだ。


「梓、具合でも悪いの?」


そう、そうかもしれない。


ムカムカする。


断じて嫉妬じゃない。

断じて!!

そんなことあるもんか!


きっとこれはあれだ、
超時差の二日酔いとか。

嫉妬なもんかーーっ!!!



「梓?」

「違うもんーー!!」


とうとう爆発した私は、ついそれを口に出して、彼から伸ばされた手を振り払ってしまう。


は?と怪訝な顔をする愁也を無視して、


ーー私はその場から逃げ出した。
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