私んちの婚約者
***
無事に卒業式を終えて、私と愁也はイタリアへ戻ることになった。


「ちょくちょく帰ってきなさいよね」

「またな」

マキと透也の笑顔に見送られて。


「透也ぁ、マキちゃん泣かせたら沈めるからね!」

「どこにだ。……わかってるよ」


うんうん。
透也が優しいのはよく知ってる。
私の忠告なんて必要なさそうだなあ。

寂しいけど。
……寂しいけど!!


「――うわああん、マキちゃんと一緒がいいよぉう!」

「よしよし」

「あ、また。俺そんな風に泣きつかれたこと無い」

愁也が微妙に複雑そうな顔で私を見た。
こらこら。


「行ってきまあす!」


二人に手を振って、愁也と手を繋いで。
また一緒に歩き出す。

きっと何度もこうやって私達は過ごしていくんだ。


「愁也」

「ん?」

「……宇宙一、大好き」

「それ、色仕掛け?」

「そうかも。効く?」

「効果抜群」


交わされた短い言葉に反比例して。
私達は長い長いキスをする。

そうしてまた、恋に落として、落とされて。


一緒に行こうね。
恋の先へ。



fin
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