私んちの婚約者
う~ん、ここはさりげなく拒否するべき?
殴り倒すべき?


いつもなら問答無用で鉄拳を奮うところなのに、悠長に考えてる私は、相当お酒が回ってるらしい。
私お酒弱かったんだなあ。


……もぉいっか。


イヤイヤ、ダメだ!
だけど、眠い……。

体が、ふわふわする。



眠気に任せて、そのまま目をつぶってしまおうかと思った瞬間ーー。




「……何してるの?」




聞いたことのある声に見上げれば、スーツ姿のイケメンがそこに立っていた。

眉をひそめて私を見ている。


アルコールの回った頭で『おぉ、格好良い人だな。誰だったっけ』なんて考えて。

うちの同居人だと気付く。


「……あ、シューヤさん?」


なんでここに居るんだろう。夢かな。


ろれつの回らない声で、その人の名前を呼べば、彼はますます苦い顔をした。


「梓、酔いすぎだろ。
……帰るよ」


不機嫌そうな声。



「あの、どちらさま?」

私の肩を抱いたままの水樹君が、戸惑いながら彼に問いかける。



「そいつの、婚約者」



愁也さんが私の隣の水樹君を睨んだ。
息を吞んだ彼の手が、私の肩から離れる。


「あらら、梓ってばお酒弱かったのね~!すみません、この子宜しく!!」

何かを物凄い勢いで察したマキが、一気に飛んで来て私を愁也に押し付けた。


なんで?
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