冬美の初恋
さっかー
「お待たせ♪」

「おう」

私たちは、あの初デート前の関係に戻る事ができた。

お兄ちゃんも、一応ちゃんと学校行ってくれるようになったし。

でも、あの日以来、雨くんとはほとんど話さないらしい。

ノリちゃんとはたまに話してるところを見かける、と雨くんは言っていた。

「ねー、今日の家庭科でクッキー焼いたから食べて♪」

「……いーけど」

私の差し出した包みの中から、雨くんはひとつつまんで取った。

「おいしい?」

「うん」

「全部食べていいよ」

「ありがと」

クッキーを食べる雨くんを、私はニコニコしながら見つめた。

「あの………見すぎ」

「ああ、ごめん」

少し困った顔をさせてしまい、私は顔を伏せた。

……なんか一度好きって言ってしまってからは、もう開き直ったとゆうか……

「今度…また遊びに行きたいな」

「………どこに?」

そう聞かれるとな…。

「んー……好きな食べ物ある?」

「食べ物?」

「そう」

「………味噌汁」

……例えばパスタとか言ったら、おいしい店探して行こうとか言えたけど……。
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