愛されオーラに包まれて
俺の隣に遥香。
向かいは花村。

遥香の向かいは越後。

そんな座り方。
これがこのメンバーの定位置だ。

飲み物も来て、

"お疲れ様ー!"

とグラスを当てる俺達。

『まず、私のせいで全然この飲みが開催できなくてごめんなさい』

遥香が頭を下げた。

『おかげさまで料理書フェアは品物も宣伝物も無事書店に納品できて、あとは売れるのを待つのみ!』

遥香は張り切って拳を上げた。

『そう言うの、空回りって言うんじゃねーの?』

花村がそんな遥香を見て冷めた声で言う。

実はこれ、いつものスタイル。
場を盛り上げテンション高くして接するのが遥香流の気の使い方。

俺はそんな遥香が好きなので、微笑ましく見つめる。

今日、花村に言おう。

「なぁ、花村」

俺は遥香の背中をつついて互いに箸を置く。

「俺達、真剣に付き合ってるんだ」

すると、花村は驚く様子もなく。

『俺は遅かれ早かれ、高松が成瀬川局長が好きと言おうが、お前たちは引っ付くと思ってたよ』

つまみも出揃って、何杯かアルコールも進むと、全員の本音が見栄隠れする。

『お前、高松を見る目が優しくなったよな。さすが、幸せな男は違うね』

花村が大分くだけてきた。
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