愛されオーラに包まれて
『入社して6年目、去年の6月から営業局の局長になってるんだけど、計算上、大学出てから3年の空白があるのよ』
「素晴らしい情報網だね」
『6年以上働いている先輩なら、みんな知ってることでしょ』

あ、そうか。
私達はまだ入社して2ヶ月ちょっとだから知らないだけだ。

「でもほら、御曹司だから海外に留学してた、とかさ」
『有り得ない話じゃないよね。あと経営学修士を取得してるみたい』
「ならブランクの原因ってそれじゃない?」

経営学修士って大変。
勉強漬けになるんだよね。
大学の男の友人がそうだった。

『それが、経営学修士の勉強を始めたのは、龍成社に入ってかららしいのよ』
「仕事しながら取れるの?MBAって。ますます局長が好きになった」

私ってば、すっかり舞い上がった。
凄いよ。

片や勉強漬けにならないと取れなかった男。
片や夜間大学院でも取得してしまうスマートな男性。

『あーら、ますます遥香ちゃんの恋心は募る一方なのでありました。チャンチャン』

茶化す朱里。

「だって、好きにならない方がおかしいでしょ」
『なら、成瀬川局長に彼女のひとりくらいいない方がおかしいとは考えないの?おめでたいね、遥香は。私は今の遥香しか知らないけど、昔から惚れたら即行動って言うタイプだったの?』
「うん、割りとね」
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