愛されオーラに包まれて
入社前に会社側から"希望通りに行くことはほとんどない"と言われているので、みんなそれなりの覚悟は出来ている。

書店研修を終え、翌日に会議室に集められた私達は、それぞれの配属先が一覧になった紙が配られた。

私は…

【高松遥香 営業局販売六部】

やっぱり、編集には行けなかったね。

でも…私は嬉しさを隠せなかった。

なぜなら…

『ねぇ、良かったんじゃないの?遥香』

隣にいた越後朱里(エチゴジュリ)が小声で私に言う。
朱里とは、入社前の研修から仲良くなり、今では研修後にしょっちゅう飲みに行く同期。

朱里は、広告局広告二部の配属らしい。

『まぁ、営業局で当たって砕けてきなさい』
「まだわかんないでしょ。初めから結果ありきで言わないでよ」
『だってハードル高すぎでしょ。目の保養レベルにしておきなさい』

朱里にポンと肩を叩かれた。

配属先が決まると、15人はそれぞれの局に早速バラバラとなった。

私の配属になった営業局は、この会社で一番のマンモス部署。

販売一部から八部。加えて宣伝部まであり、私達新入社員4人を入れて56名での構成。

…と、説明するのは、営業局の成瀬川局長。

そう。
この人こそ、私の憧れの人。いや、恋してしまった人。
< 2 / 345 >

この作品をシェア

pagetop