愛されオーラに包まれて
"それでも"と続ける剛さん。

『僕の気持ちは変わりません。だって僕は"神戸由依"という、強くて儚い女性を好きになったわけですから。だから全く迷うことなく結婚したわけですし』
『それを照れもせずに言える剛さんが素晴らしいと思います』

泰河はそう言うと、隣に座る私の手をテーブルの下でギュっと握った。
いかにも"俺もそれがお前に言いたかった"と言わんばかりに。

泰河は手が大きい。
私は割りと小さいので握り返せず、泰河の力に任せるしかないけと、

それでも、小さな喜びを感じていた。

次、また、必ずテニスを一緒にやろうと約束して、私達は別れた。

泰河の家でシャワーを浴び、すっかり寝る体制。

『いい表情してたな、神戸さん』

泰河は天井を見ながら言う。

「うん。しっかり"愛されオーラ"出てたよ」
『つまりは神戸さんも剛さんのことを愛しちゃってるわけだ』
「でも、剛さんからはいわゆる"王子様オーラ"を感じてしまって、愛されオーラがよくわからなかったな」

泰河は私の言葉に笑った。

『勝手にお前が王子様オーラに変換してしまっただけだろ。大丈夫、愛されオーラはちゃんと剛さんからも出ていたから』
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