愛されオーラに包まれて
『社食へは、人の話を聞きに来るのを楽しみに来ているようなものだから』
「何か、悪趣味ですね」
『自己啓発のための人間観察と言って欲しいよね、玲奈』

このふたり、私の心の傷が深くならないように、もり立ててくれてるんだ。

『で、どうしたいの?』
「はい?」
『だから、越後さんと仲直りするか、桐生くんとの社内恋愛を貫くか』

私に迷いはなかった。

「もちろん、後者です」
『そう言うと思った。あと、この話はちゃんと桐生くんに言うんだよ』
「はい」

これほど、先輩の存在がありがたいと思ったことはなかった。
< 81 / 345 >

この作品をシェア

pagetop