闇の花
1story





『おはよー!先生』
「おはよう。」
一人ひとり挨拶を返していく。
僕は教師になった。教員試験も一発で合格し、今年で教師生活も3年目になる。



窓から見える外の風景はどんよりと灰色の雲が広がっており今にも雨が降り出しそうだ。こんな天気の日は決まって思い出す。あの最悪な過去を...



天気のせいだけじゃないかもしれない。あの悲劇がここ、『日々野学園』が舞台だったからというのもあると思う。机や黒板、本棚、ロッカーなど当時のままだ。 ホントならこんな所居たくもない。だけど、目的を果たすにはここにいるしかないのだ。




『先生ぼぉーっとしてどうしたの?』
「...ごめん、雨だから憂鬱だなと思って。」
『そっかぁ...』
ぎゅっと腕にまとわりついてくる。
「ばか、離れろ」
『いいじゃん、ちょっとくらい』
「ほかの先生に見られたらどうするつもり?」
『それもありかなー』
「僕が教師辞めさせられるんだけど」
『それはやだぁ』
「なら離れて」
『んぅ、ケチぃ!』
以上に懐いてくる女子生徒を押しのけて職員室へと向かう。



職員室につき自分の机につくと、
「黒木先生おはよー」
「おはよう」
僕の名前は黒木悠人。それで、彼の名前が泉響也。中学からの付き合いだ。
「朝から大変だな。」
くくっと笑いながら資料をまとめる泉。
「ほんとだよ。」
「モテモテですね。童顔先生♩」
ニヤついてる彼の横腹をたたく。
童顔なのは確かだが人から言われるとすごく腹立つ。20代後半だが、今だに高校生と間違われるのはいかがなものかと思う。
そういう彼は容姿も整っていて女子生徒にかなり人気がある。

「だけど、君のお目当ての子は全く興味ないみたいだけどね」
「...うるさい。そのうち落とすよ」
「強気だなー笑まぁ、がんばれよ」
「言われなくてもね」
「けどさ、何時までも引きずらなくてもいいんじゃない?」
「知らない」
「まぁ、止めはしないけどいつまでも過去に囚われるのは勿体無いと思うよ」
「...」
僕が不機嫌になったのを察したのかそれ以上は何も言わない。泉は僕らの過去を知っているからかなり面倒だ。だけど、必要以上に干渉してこないのは彼なりの気遣いなのかもしれない。


朝から沢山の資料に向かっていると時間はあっという間に過ぎていく。僕の担当授業の時間になる。授業の準備を済ませ職員室を出る。2-3の授業だ。あの子がいる2-3の授業...
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