冷凍保存愛

 教室に入ってくるクラスメイトたちは、窓際一番後ろに座っている羽都音を見て一瞬不審な目をよこし、皆同じように教室に入ってくると足を止めた。

 それもそのはずだ。初めて見るわけだし、誰? と思って不思議はない。


「お、おはよう」


 近くの席に座った子や目が合った子に一通り自己紹介も済ますが、すでに女子はグループができあがっていて、それぞれに固まって自分たちのグループの話題で盛り上がっている。

 それに、自分が挨拶をしても誰一人として返してくれる人はいなかった。

そこにはどこにも羽都音の入る隙間はない。


「やっぱりこうなるよねー」


 小さく言った言葉は誰にも聞こえない。

 小さく息をつき、一人ポツンと座ってクラスメイトたちを眺めているが、やはり誰一人話しかけてくれる人はいなかった。


 どこのグループにも属さない女子が二人いる。
 ひとりはクール美人系で高校生なんてガキ相手に出来ないといった雰囲気を回りに張り巡らせ、人の侵入を拒んでいるし、もう一人はメガネをかけたいかにもがり勉な女子で、参考書を眺めながらぶつぶつ独り言を言っていた。


 

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