冷凍保存愛

 抱え込むように大量のプリントを持ってきた小田原を見て小堺は目の前の机に置かれたプリントを更に端に寄せ、置きやすいように場所を開けた。

「ふー。やっぱ重いな」

 小田原が腰をとんとんと叩くのを見て、少し口元を緩めた小堺は下を向いて恥ずかしそうに顔を隠した。

 そのとき、コーヅはおもむろにポケットから髪留めを出し気づかれないように反対側の机の隅に置いた。

 小田原は丁度他の先生に呼ばれ、髪留めに気付くことなく、小堺に一言二言言い残し、呼ばれた方へ歩いて行った。

 小堺は自分の目の前に落かれている髪留めを見ると息を飲み顔がみるみる青くなっていった。

 口は半開きになり唇は少し震えだした。

 なぜこれがここにあるのか。どうして今ごろ出てきたのか。



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