冷凍保存愛

 片手には携帯電話。本当はいきなり会ってびっくりさせるつもりだったけど、事情が変わった。

 画面をスライドさせ、電話番号を表示させると迷わず緑色のボタンを押した。



 羽都音は丁度その時玄関を出るところだった。

 電話は肩からかけたポシェットの中に入れっぱなしで強羅の電話に気付くことはなかった。

 9時に駅前でコーヅと待ち合わせをし、小堺の家に行ってみようという約束をしていた。


 二人で小堺のあとをつけ、家まで行ったが何事もなかったあの日、翌日にコーヅは再度一人で足を延ばしていた。

 外からだが確かに家の中には無数の虫かごが転がっていた。

 それに髪留めの行方も気になる。

 虫かごの中は空で何もなかったが、虫を採らないのに虫かごがあるわけがない。

 それも大小様々な大きさのものが部屋の隅に転がっていた。



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