蜜 の 園~美男子たちのキケンな秘密★~


これは、とある家庭のひとこま。
時刻は、午後8時。

そこは、高層マンションの上層階で20畳の広々としたリビングダイニング。


今から、我が家の遅めの夕食が始まろうとしている空間だったりする。


母によって、ダイニングテーブルの上に並べられた夕食の品々からあがる湯気をぼーっと眺めるあたしが、そこにいる。


ガガッー


椅子を引く音が室内に響いた。


それは母が一通り夕食の品々を並び終え、あたしの目の前の席へと腰を下ろした音。


『出来たわよ…』
「うん…」

ただ一言ずつ会話を交わした母とあたし。


そして、どちらともなく夕食を食べ出した。


その中で聞こえてくるのは、カチャカチャという食器音と、ザワザワというテレビの音だけ…。


そこに確かに母とあたしという【人間】が存在しているのに会話は、ない。


お互いに目を合わせる事もしない。

ただもくもくと‘食する’だけ。


そう。
これが我が家のいつもの食卓の風景だ。


< 2 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop