その鎖で縛りつけて

「用はそれだけか?
なら切るぞ、玲香」


『え〜ちょっと待ってよ〜‼
今から会えない?私、要に会いたいんだけど〜…』


そこから声は聞こえなくなった

おそらく、要さんが電話を切ったんだろう


「…今日、俺の部屋に来い」


視線を感じるから、多分こっちを見ているんだろう


わざと聞こえないふりをする


「詩織」


「……」


今は話したくない


「これは命令だ」


ずるい

ずるいずるいずるいずるいずるい…


そうやって、私を自由に操っているつもりなのだろうか


「…わかりました」


顔を見ないまま言った


目にたくさん溜まった涙を決して見られたくなかったから





< 63 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop