愛を欲しがる優しい獣
部屋の中に入るとキスは一層激しさを増した。
唇は何度も愛撫され、さらには首筋や耳まで甘噛みされる。
……まるで飢えた獣のようだった。
「待って……!」
「待たない。もう1秒も我慢できない」
一体、この情熱をどこに隠し持っていたのだろうか。
あまりの激しさにまだ靴も脱いでいないというのに、早くも白旗を上げてしまいそうだ。
(もう、立てない……)
鈴木くんは腰砕けになった私を抱きかかえるようにして、寝室に連れていく。
ベッドに敷かれていたシーツが乱れていて、生活感があって妙に生々しかった。
これからここで、鈴木くんの物になるのかと思うととても見ていられない。
私はぎゅっと彼の首にしがみついた。
「初めてなの……」
「うん、知ってる」
(何で知っているのよ!)