愛を欲しがる優しい獣
65話:愛を欲しがる優しい獣
「俺のこと、好き?」
事あるごとに強請られる愛のことばに笑いながら答える。
「好きよ……」
鈴木くんは答えに満足したのか再び、ベッドに私を押し倒した。
サラサラと彼の髪が揺れる。
本当はずっと触ってみたかったと言ったら、笑われるかしら。
愛を欲しがる優しい獣は荒々しく、そして強引に私の身体を奪っていった。
その手に堕ちていくのは心地が良かった。
頭の芯がぼうっと痺れて、鈴木くんのことしか考えられない。
どこまでも溺れてしまいそうになる。
初体験は痛かったり、気持ち良かったり、恥ずかしかったりで、訳が分からなかった。
愛しいのと嬉しいのとで胸が一杯になった。
何度も何度も互いの身体を求めあって、結局眠りについたのは深夜になってからだった。