檸檬-レモン-



帰りの電車の中で、俺は元カノに連絡を返す為携帯を眺めていた。


胡桃沢に相談して良かったと思う。

はっきり自分の気持ちを伝えるべきだ。

お互い、前に進むために…


なんだよ、俺。答えなんて出てるじゃん…


電車の中に、あの広告を見つける。


あの時は自分でもよく分からなかった。

何故、胡桃沢を誘ったのか。


同情だと思ってた。


俺が胡桃沢を女として見ていないって、頭で勝手に理解していただけで。


本当は、どこかしら惹かれていたんだ。

不器用だけど真っ直ぐな所とか、一緒にいて落ち着く所とか…


わざと気付いていないフリをして逃げていた。


今誰よりも、自分が自分らしくいられて、安心できる場所が胡桃沢の隣だって。


でも、そんなこと言ったらきっと胡桃沢は信じてくれないだろう。

笑って『冗談やめてよ』なんて、言うんだろうな。


自分に自信ないとか言ってるけど、気付けよバカ。

俺はありのままの胡桃沢のそういう所が、素直に好きだと思う。


好き、だと…





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