檸檬-レモン-



花火が打ち上がる頃には、すっかり出来上がった私達。

ビニール袋の中にはたくさんのビールの空き缶が入っている。


「やまぐちっ、まだまだ飲むよ」


「は?もう飲みすぎだから!てか、ビール代だけで6000円だからな?」


「小さいこと言うなって。ほら買ってきて」


私は財布から千円札を何枚か出して、山口に渡した。

私達が座っている所からすぐの場所に、飲み物を売っている屋台がある。


山口はブツブツ言いながら、腰を上げた。


もうすぐ、花火だ。


2年前の夏は、あいつと一緒に見た花火。


「ひゃっ」


突然頬に冷たさが走って、思わず後ろに手をついた。



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