無口なカレとの甘い恋

「別に取り消す必要ないだろ」


「え……?」


ウソ……。海星君の口から出てきた言葉が意外過ぎて、目を丸くする。


絶対に『取り消そうぜ』って言われるって思っていたから。


「お前は、嫌か?」


「い、嫌なわけない!!」


「じゃあ、いいんじゃね?」


「そ、そうだね!!うん。嬉しい!!あたし、海星君とベストカップル賞に選ばれて嬉しい!!わーーーい!!やったぁぁぁ!!」


素直に気持ちを口にすると、海星君はそっとあたしの頭に触れた。


そして、ゆっくりとその手を動かして頭を撫でてくれた。


「……――よろしくな、姫子」


か、海星君が……姫子って……姫子って呼んでくれた!!!


あたしの名前、憶えていてくれたんだね!!


うわぁぁぁぁ、どうしよう!!


超嬉しすぎるぅぅうぅ!!!!


その日、あたしは名前を呼ばれたことに舞い上がって肝心なことを聞きそびれてしまった。


あたしと海星君って……本当に付き合うことになったのかな……?って。
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