偽りの姫…本気の恋
「くそッ!俺が…」

桜坂の家に着いてすぐに
バイクから飛び降りて走り
リビングに駆け込んだ…

ソファーに座る小さな身体には…

腕や足首に包帯が巻かれ、
頬には大きなガーゼ…
唇は切れ、まぶたも腫れ上がっていた

「千尋…すまない、俺の所為で…
こんな目に合わせて」

「修二さん…私、怖くて痛くて
どうしようもなくて…
なんでこんな目にあうのっ!
卑呀が側にいた時は
こんな事は一度も無かったのに…」

「千尋!修二さんをせめても
しょうがないだろ?
悪いのはあいつらだ!
それに…ヤクザの女になったんだ
このくらいの事で喚き散らすなら
この世界の女はつとまらないぞ?」

「卑呀さん本当にすいません…
申し訳有りません…千尋?
卑呀さんとこ帰りたいだろうけど
お前を手放すのは無理そうだ…」

「修二さん…連れて帰ったり
しませんよ?俺は…
自分の女にすると決めたんなら
こいつの事守ってやってくれ…
千尋?俺は帰るから…」

「うん、じゃあね…」

若い二人には解決方法が見つからない

責任を感じで近寄れない修二と

酷い事を言ってしまった千尋…

唯一の救いは…

女を奪われなかった事だけ…





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