。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。



「俺はまだここに来て一年ちょっとなので、青龍会のシマがどうなっているのか分かりませんが、これはかなりきな臭いですね」


「きな臭い?」


あたしが思わず身を乗り出すと


「地図上で、この土地の示す坪数は大よそ70.2坪。この住宅街でずば抜けて大きいです」


「70.2坪ってどれぐらい?」と進藤先輩がコソっとあたしに聞いてきて


「232.07 ㎡ で、畳数にすると 149.91 畳ってことですよ」と先輩に説明すると、進藤先輩はイマイチ……いやイマ100ぐらいで理解してなさそう。


「その通りです」と響輔さんが頷く。


その隣で進藤先輩は頭の後ろを掻き掻き。


「あはは~、俺計算が苦手だから」と苦笑い。


「計算“も”でしょ。日本語も怪しいですよ」とあたしがちょっと睨むと、進藤先輩はしゅんと小さくなる。その隣で響輔さんが苦笑い。


「つまりこれだけの土地に一軒家と言うのが、ちょっと引っかかりますね。場所的に古い土地ではなく、50年程前に開拓された土地です。地主と言う線も薄いですね。


単に土地成金ではなさそうですし」


響輔さんの意見にあたしは大きく頷いた。


「あながち金髪くん……じゃなくて今日は黒髪くんの言う『ヤクザの家』って言うのは外れてないかも」


響輔さん、『黒髪くん』ってわざわざ言い直さなくてもいいんじゃないですか?


まぁ、そんな律儀(?)な所も好きだけど。


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