。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。



「鴇田の作った顔認証システムを作動させて、昨日は某テレビスタジオで約三時間の実験を試みたが


実験は成功だったな。


スネークのヤツは三時間、俺を見つけられなかった。


だがしかし、システムを解除すると途端に俺に食いついてきやがった」


タチバナの話を要約するとこうだ。


タチバナはシステムを作動させたまま館内をふらふら、テレビ局だと言うからあちこちにカメラが回っているさなか、こんなに目立つ男を


スネークは見つけられなかった。


タチバナの痕跡を誰か違う男に塗り替えていたからだ。


だがその塗り替えをやめると、タチバナ本人の姿が現れる。


「俺が例の女優、youに接触する数分前のことだ。


案の定―――スネークは共犯者であるyouにコンタクトを取り、俺が行くことに備えた。


スネークの方もさすがだ、と言うべきかな。


僅かな痕跡で俺を見つけられたとはね―――プロだよ」


俺は「ちっ」と小さく舌打ちした。


妙なところで感心しやがって。





「youに揺さぶりを掛けたが、あの女―――なかなか芯が強いな。


俺が詰め寄っても『知らぬ存ぜぬ』を通した。




さすがは“あいつ”の娘なだけある―――な」










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