godlh
胸の感触
「あゆみちゃん、今朝はどうしたの?」
その口振りからは、やはり彫野は、昨日の事は気がついていないようだった。
あゆみには、その妙に明るい笑顔が、鼻についてしょうがなかった。
「別に。」
口をきくのも嫌だった。
「別にって。俺、今朝もあゆみちゃんの家に行ったんだぜ。」
「もう、来なくていいよ。」
あゆみのキャラからは、信じられないくらいに、ぶっきらぼうに言った。
その言葉に、彫野は動揺を隠せなかった。
―――なっ。なんだ。これは。目は、目はどうなっている?
座っているあゆみに視線を合わせようと、少しだけ身を低くした。
「何、ジロジロ見てんの?もう、どっか言ってよ。」
―――紅い。まだ、あゆみの瞳は紅い。なのに、この態度はなんだ?
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