godlh
店員は返事のあと、少し考えこんで、笑いながら僕に言った。
「銀のナイフは、ここにはないよ。あそこに置いてあると思うから、行って、店員に聞いてごらん。」
何か釈然としないものを感じながらも、僕は言われた通りの売り場に来た。
“食器売り場”
そこは、考えもしない場所だった。
---こんな所にあるかぁ?
疑いつつも、店員を探した。
「あのぉ・・・。」
「いらっしゃいませぇ。」
キンキン声が、僕の脳みそを揺らした。正直苦手なタイプのおばさんだ。
「何かお探しでしょうか?」
中学生の僕にも、大人に対する口調と同じ感じで接してきた。この辺は合格だ。童顔なせいで、未だに小学生に間違えられる。それが、本当に嫌だった。
だから、気分良く話をする事が出来た。
「銀のナイフを探しているんですが。」
一呼吸置くと、すぐに案内された。そこには、僕が考えていたナイフとは全く違った“銀のナイフ”があった。
―――本当にこんなのでいいのか?
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