godlh

涙声

　「あゆみ。おはよう。」
　「愛内さん、おはよう。」
　そう話しかけてきたのは、同級生の牧原梢と鮎瀬リアだった。
　「梢、リア。」
　そこからは、涙声で、何を言っているかわからなかった。
　「どうしたの？あゆみ。」
　「はい。ハンカチ。泣かないで。」
　梢も、リアも、そのあゆみの変化に驚きながらも、必死に、彼女を落ち着かせようとした。その気持ちが、あゆみに伝わったのだろう。少しずつ落ち着きを取り戻し、ゆっくりと、ゆっくりと電車の中で起きた事を話しはじめた。
　「何それぇ。」
　活発な梢は、思い切り、怒りを露わにした。
　「大丈夫？明日は、一緒に電車に乗ろうか？」
　いつもは、少し控えめなリアも、怒りを感じ、いつもよりも積極的な発言をした。
　「ありがとう。ふたりとも。でも、もう大丈夫だから。」
　ふたりの優しさが、あゆみの心に静かにとけ、完全ではないにしても、元のあゆみに戻っていった。